「暮らすように旅をするパリ」というコンセプトでパリ滞在中の体験を紹
介していきたいと思います。昔から多くの旅行者を魅了してきたパリなので、「もうすで
に何度も旅行したわ」というクールなあなたには、「次はこんな風にすごしてみては?」
という提案となり、「初めてだから観光地全部まわる!」という馬力派のあなたには、「滞
在中1日くらいはこんな風にパリを見てみては?」という紹介になるようなコラムを目
指したいと思います(……とひとまず抱負を語ってみる)。
パリという街、そしてパリジャンは、矛盾したキャラクターを併せ持っていると思います。騒がしくて怠け者で理屈っ
ぽくていい加減。それぞれがそれぞれの尺度でものを言うので、正直言って「いったい、
誰の言ってることを信じればいいんだ!」と頭にくることも多いです。でも個人的に親し
くなれば、みな懐が深い。パリ留学は今回で2度目ですが、私自身まだまだ「旅人のよ
うに暮らしている」異邦人でしかありません。日々異世界との遭遇を楽しんでいる状態で
す。
パリに到着したのは6月5日のことでした。とはいえ2度目の余裕からか直前まで準
備をせず、なんと出発前日の夜になってトランクに帯同予定の荷物 が納まらないことが
判明! 母に「あんたってほんと馬鹿な子ねぇ」と罵られつつ、泣く泣く荷物を詰め直し
て出発しました。外食が苦手なので、自炊の出来ないホテル暮らしはあまり好きではなく、
住居については当座の2週間だけ、メトロ2番線AVRON(アブロン)駅の近くの短期アパ
ート を予約しておきました。(その期間中に長期滞在用のアパートを探せばいいだろうと
考えたのです。)
さて、シャルル・ド・ゴール空港に着いてからパリ市内までどうやっていくか? 空港
から凱旋門までリムジンバス が出ていることは、ガイドブックなどによく書いてありま
すよね。今回、私が泊まる予定のアパートはバスティーユの奥に位置しているので、リヨ
ン駅経由モンパルナス行きのバスに乗ってパリ市内にはいりました。飛行機の到着時刻は
現地時間の午後7時頃だったのですが、6月のパリはサマータイム実施中で、リヨン駅に
到着した段階でもまだまだ明るいのでした。自分より重いんじゃないか……という大荷物
を引っぱって、リヨン駅前のタクシー乗り場に向かいます。いつもながらすごい行列です
が、およそ20分くらいでタクシーに乗ることができました。
アパートの管理をしている宇藤さんが事前にFAXでアパート周辺の地図を送っておい
てくれたので、タクシーの運転手さんにそれをみせます。だがしかし。発進するやいなや、
「いやー、あんまり道を知らないんだよねー」と運転手さんは呟くのです。こちらは真っ
青です。「あのー、いつからこのお仕事してるんですか?」と聞き返すと、「3日前」など
と答えるのです。あわててカバンからパリ市内の地図を取り出して、なぜかナビゲーター
をする羽目に。これでは何のためにタクシーに乗ったんだか判りません。「もうちょっと
ゆっくり走ってください!」などと叫びつつ、必死に道路名の書いてあるプレートと地図
を見比べます。運転手さんは「お嬢ちゃん、パリ詳しいねー」とかなんとか言っちゃって、
非常に呑気です。もう私に任せとけば大丈夫といわんばかりです。そんな調子でよたよた
とタクシーは進み、ようやくアパート近くの小道まで辿り着きました。
2分ほど歩くとアパートに到着です。ドアをノックすると鍵の受け渡しのために中で待
っていた宇藤さんが出迎えてくれました。東京からの国際電話で予約を取った時に「落ち
着きのある声だわ!」と思っていたのですが、声から想像していたとおり、シックで落ち
着いた雰囲気を漂わせた素敵な女性でした。アパートの設備について一通り説明をうけ
様々な手続きを済ませた後、そのままなぜか1時間以上、彼女と話し込んでしまいます。
長旅の疲れも忘れ(今にして思うと時差ぼけでハイテンションになっていたらしい)、酔
っ払ったおやじのようにパリへの愛を語る自分でしたが、宇藤さんが帰った後は、もう何
もすることできずベッドの上に倒れこみ、そのまま眠ってしまいました。
しかし、時差ぼけのせいで翌朝7時には目がさめてしまうのです。体は疲れてるし、頭
も痛い(←脱水症状?)のに、再び眠ることができません。そこで部屋を観察することに。
2階建てでとてもかわいい造りです。室内は白とグレーとクリームイエローを基調とした
色合い。1階は10畳くらいの広さで、キッチン、冷蔵庫、シャワー、トイレ、洗面台、
テーブル、ソファ、洗濯機などがあり、2階は8畳くらいでベッドルームになってます。
2階にはなんとテラスもあり、晴れた日にここで朝ご飯を食べればきっと快適に違いない
と感じさせてくれました(実際、滞在中に何度かやってみましたが、めちゃくちゃ気分良
かったです)。部屋を眺めているうちに、パリに居るんだという実感が沸々と湧いてきて、
幸せな気持ちになってきます。
まあ、こんな感じで、2度目のパリ留学は始まったのでした。